ハノイのホテルでのこと。
私の部屋は4Fの屋上にあった。
ここにつくまでの階段は明かりがないので、夜は非常に暗い。
しかし壁は白いので、他の部屋の明かりでぼんやり明るくはなる。
ある日相方が、
「階段にヤモリがいる」
と言うではないか。
私はトカゲやヤモリをモチーフにしたものは大好きだが、本物はいやだ。
だからこれを聞いて、階段の上り下りがいやになった。
でも部屋に入るにはそうもいってられない。
覚悟を決めて階段を上ると、確かにいた。
白い壁に這いつくばった、小さな淡い色のヤモリが。
手の平くらいの大きさを想像してたので拍子抜けした。
家の中にヤモリがいるのは普通のことのようで、誰も気になんかしない。ましてや殺そうなんてしない。
お風呂場にいたときにゃびっくりしたけど、ヤモリの方も驚いて逃げてった。
ホイアンのホテルでのこと。
ここでは4人用のドミトリーに泊まってた。
エアコンはなく扇風機だけ。
でもバルコニーがついてるし窓もたくさんあるから、全部開けて扇風機つければ結構いい風が入ってきそう。
・・・と思って窓を開けようとしたら、壁にすばやい動きの物体が!
アリだ。
日本で見るより数倍速い動きで移動してる。
1匹のわけはなくあちこちにいた。
ベットは壁にぴったりくっついていたので、早速数cm距離を置く。
こっちじゃよくあることなんだけどね。とりあえずアリは防げるはず。
アリの団体を見ただけでこの部屋がいやになったが、
これから先もっと凄いところに泊まるかもしれないと想像し始めたら、急にこの部屋が天国に見えてきた。
「アリくらいいいじゃん。別になんかされるわけじゃないし(噛まれるかもしれんが)」
そうだよな、と自分に言い聞かせひとまず納得。
しかしこの部屋にはまだ他の生き物がいた。
次の晩、もう寝ようとウトウトしてたら相方が、
「すごいもの見ちゃった・・・」
何だすごいものって。ベランダを裸で歩いてる外人がいたのか?
いや違うな。そんなのはよくいるな。
じゃあベトナム産の幽霊でも見たのか?まあ眠いからどうでもいいや。
「大きいネズミがカーテンレールの上走ってた」
何ーっ!!!
マジで目が覚めた。
この部屋にネズミがいるのか?
ヤバイ。ペストに感染してしまう。
そうじゃない。
「手の平サイズの丸々太ったネズミだった」
ベトナムは食い物うまいから、ネズミも肥えてるのか?
そんなでかいネズミが寝てる間に、ベットにきたらどうしよう・・・
顔の上に乗ったら死んでしまう・・・
そんなことを考えてるうちに眠くなり、結局朝までグーグー寝てる神経の図太さ。
我ながら感心するなー。
もう何が歩いてようが、走ってようが大丈夫・・・と思っていた。
でもさらに上手がいた。
ホーチミンのホテルでのこと。
またしても相方が、
「ねえねえ、ゴキブリ大丈夫?」
大丈夫な人間がいたら常々お目にかかりたいと思ってる私に、何てこと聞くんだ。
まさか・・・
「ゴキブリがいる」
「ギャーッ!!!どこどこ?」
嫌いなくせにその存在を確かめるために、居場所を聞いてしまう。
しかしさすがゴキブリ。
あっという間に行方をくらました。
とは言っても、この部屋にいるのは絶対だから、死ぬのを確認するまで今度は本当に眠れない。
床を歩くのもいやになったので、ベットの上でひたすらゴキブリを待つ。
しばらくすると私の視界に茶色い物体が入ってきた。
でかい・・・
体長5〜6cmの立派なゴキブリ。
よくぞここまで成長したってくらいのでかさ。
実家ではゴキブリというものを見たことがなかったので、まだ免疫がない私にこれは非情な現実だ。
「早く殺してー!サンダルでつぶせー!」
自分がいやだから相方に殺させようとするが、相方も腰がひけてた。
たたくタイミングを逃したら、ゴキブリは部屋の外へと出ていった。
このあと『何故ゴキブリを殺せなかったか』をめぐって大喧嘩になった。
【結論】
衛生上・精神衛生上・社交上、部屋には人間以外の生き物がいてはならない
2000/6/16
その後・・・
ゴキブリは何度も見かけた。
インドじゃその辺にカサカサーっと走ってるから嫌でも目に付く。
怖いのは料理屋の台の上とか、洗った皿のところにゴキがいても、それを何とも思ってないことだ。
一応追っ払ってはいるが、その後台を拭くとか皿を洗うとかいう行動がない。
これは怖い。
で、部屋で見かけたかというと、うーん。ゴキは見てないかな?
ゴキ以外はいっぱい見た。
まずは巨大ハエ。
親指の爪くらいあるよく肥えたハエ。
五月蝿い(うるさい)と書くくらいだからホントにうるさい。
暑いインドのコバーラムでブンブン飛び回られるとウザい。
さすがでかいだけあって羽音もでかいが、重みのせいか素早さはない。
だから壁に止まったところを時刻表でスパーン!と簡単に叩き潰すことができた。
この後がまずかった。
体がでかかったのはウジがいっぱい詰まってたからだった。
潰した体からはウジョウジョと蠢く(うごめく)ウジどもが。
うわー気持ち悪い。
あ。時刻表にもついちゃった。これまだ使うのに。
お次は巨大クモ。
これも同じくコバーラムにて。
例によって相方が発見。
「すごいのがいるんだけど・・・」
またかよと思ってシャワールームに行ってみると、そこには手の平ほどの巨大クモが!
ウソ。そんなにでかくなかった。せいぜい体長7cmかな。充分でかいか。
そんなのがシャワールームにいたら、おちおちシャワーも浴びれない。
丸裸で無防備なところにそれが落ちてきたら、考えただけで背筋がぞっとする。
これまた例によって私が退治する羽目になった。
クモが手が届く範囲まで下りてきたところを狙って水をかけた。
もちろん水なんかで死ぬタマじゃない。
これは水流で壁際に追い詰めるためであって、本番はシャンプー責めだ。
水流攻撃でぐったりしたところをシャンプーの界面活性剤でじわじわ殺す。
とどめは熱湯風呂。
熱湯をザバーッと掛けたら、さっきまであんなにでかかったクモがキュ〜ッと縮んでしまった。
足も縮んでただの黒い塊になった。
相方に無事退治したことを告げると、死んだ生き物には強いので、さっさと死体を片付けてくれた。
今度はリス。
インドのチェンナイでの出来事。
ホテルの裏はクリケットかなんかの球技場で、そことホテルの間は木がたくさん生えていた。
そこにリスが住みついてた。
暑いので窓を開けて寝て朝起きると、なんかがさごそ物音がすると思ったらリスがいた。
人の気配がするとさっと姿を消してしまうので、まじまじと観察こそできなかったが、
何度かうちらの部屋に入ってきた。
最後はネコ。
インドのブバネーシュワルでのこと。
ホテルの2階に泊まったのだが、窓を開けると目の前は隣の建物の天辺が見えた。
階段がないので人間が登ってくることはないと思うが、もしできたら部屋に入ってこられるかもしれない。
でも窓には鉄枠ががっしりはまってたので、その心配もなかった。
ここでも暑いから窓を開け放しておいたら、夜中にガタンと大きな物音がした。
びっくりして相方が飛び起きて窓の方へ行ってみると、そこには猫がいた。
ニャー。
泥棒が入ったかと思い驚いた相方と同様に、猫もびっくりしてた。
さすが猫だけあって狭い鉄枠もスルリと抜けられたようだ。
泥棒じゃなくて良かったけど、たとえ大好きな猫でも夜中の訪問は好ましくないと思った。 |