目が覚めたら体中のあちこちがかゆかった。
見てみると、1個所を中心としてポツポツと赤くなっている。
虫がかじった跡のような赤い膨らみ。
これは南京虫に違いない。
エチオピアは南京虫の宝庫として名高い。
だからその対策として、殺虫パウダー・虫除けスプレーを買っておき、
どんなにきれいにシーツを敷いていても、
チェックイン後容赦なくひっぺがし、パウダーを振りかける。
それを枕で伸ばす。という作業を行っていた。
しかしその防御もむなしく、まんまと南京虫に体を許してしまった。
痒み止めを塗るが、時間が経つとまた痒くなる。
以前、マレーシアのクアラルンプールでもこいつにやられた。
この時はまだ南京虫の存在を知らずに、ダニにやられたと思っていたが、
私の症状を聞いた人によると、どうやら南京虫だったようだ。
それ以来蚊に刺される以外は、いたって平和な安眠生活だったのに、
ここエチオピアで脆くも崩れ去ってしまった。
毎日毎日、着実に喰われた個所は増え、
ある日数えてみると160箇所を超えていた。
160。たった10日間で160。
1日平均16個所だ。小学生でもわかる計算のしやすさ。
足の裏、足の甲、すね、太もも、ケツ、背中、腰周り、二の腕、手首、首筋・・・
ものすごい数だ。
<全身虫刺され>ってこんなに汚く見えるのかと痛感した。
だってケツに赤いポチポチがたくさんあるんだもの。
蚊だったら洋服で隠れてるところは刺さないが、
南京虫の場合は、服の中に潜り込んで刺すから厄介だ。
もし殺虫剤をまいても効果がないときは、
すでに洋服にいる可能性が高いから、
洋服を全部洗って、日光消毒するしかない。
間違っても、面倒だからといって体に殺虫スプレーをかけないように。
私も洗濯したいのだが、エチオピアは虫だらけの上、
水も出ないところが多い。
だから毎日洗濯もできず、虫の繁殖を促しているのだ。
虫がいるのは、ホテルのベッドだけではない。
バスのシートも怪しい。
乗ってる途中でかゆくなって見てみると、例の赤い跡が。
シートにいるのか、はたまた隣のおっさんに生息していた虫が乗り移ってきたのか・・・
ここまでくると、エチオピアに来たものの宿命とでも言おうか。
避けては通れない道だ。
そのうち刺された跡を見て、
「私、エチオピアに行ってたのねー」
と、感慨にふける日がくるかもしれない。
2001.6/8 |