このホテルはホットシャワーが出るという点で決めた。
部屋は薄暗く、ベッドのカバーはテカテカピンクという
一昔前のラブホテルのようだった。
(後日、本当の売春宿だったことが判明)
安かったのでここに決めて、ひとまず夕食を食べに行った。
たらふく食べて帰ってくると、
テーブルの上をすばやい動きで駆け抜けるものが。
ゴキブリだった。
今まで見たゴキブリに比べてとても小さく、親指の爪ほどのミニゴキだった。
しかしどんなんに小さくてもゴキはゴキ。
部屋の中にいるというだけで不愉快だ。
それではさっそく殺虫剤を取り出し、攻撃開始だ。
ゴキに向けてスプレー噴射。
この作戦の最大の欠点は、
この殺虫剤が虫も殺すが人も殺しそうなくらいたまらなく臭いことだ。
おかげで咳が出はじめた。
もうひとつの欠点は、噴射圧が強すぎて、
虫がその勢いでどこかに飛ばされてしまい、
本当に死んだのかどうかわからない点だ。
密室でこの作戦を続行するということは、自殺行為だ。
そこで人体に害を及ぼさない、極めて原始的、かつ直接的な作戦に切り替えた。
スリッパでぶったたくのだ。
最初のゴキは仕留めたものの、目を凝らして部屋を見てみると、
天井、壁、床、ベッドの上、テーブルの上とありとあらゆる所で発見。
そうか。「1匹いたら、その数十倍はいると思え」って本当だった。
こうなったら部屋中のゴキを退治せねば、安眠も妨げられてしまう。
夜中に顔をの上をゴキが這ってて目が覚めたなんてのはごめんだ。
(後日、アリに腕をかまれて目が覚めたことはあったが)
まずは、手の届く範囲にいるゴキは片っ端から叩き潰し、
天井に入るゴキには、超強力殺虫剤で弱らせ、
(というか風圧で落として)スリッパで叩き潰す。
しかしこの作戦のおかげで、殺虫剤の臭さが部屋中に充満し、
呼吸がつらくなり、挙げ句の果てにひっそりと身を潜めていた
ベッドの下のゴキまで刺激してしまい、大量発生させてしまった。
もうあっちゴソゴソ。こっちカサカサ。
そこら中ゴキだらけ。
一体どこから入り込んでくるのだろうか。
この数。
必死にスリッパを振りかざし続け、気がつけば40匹以上がご臨終。
最初は叩くことにためらいがあったが、
最後の方なんて動く物体がいれば、もう条件反射のようにサンダルを持っていた。
この懸命なゴキ絶滅運動により、ゴキの姿はめっきり減った。
その後1週間の滞在中、『たった』15匹程度見ただけだ。
なんだか「VS虫」がパターン化してきたような気がする。
好きで殺しているわけじゃないが、(いやどうだろう)
だんだんと虫に対する抵抗力のレベルが、
アリ→キリギリス→ゴキと着実に上がってきている自分が、
逞しくも思える反面、恐くもある。
2001.6/8 |